現実世界…
「香津美〜?早く寝なさいって言ってるでしょ…あら?」
香津美達の母…早苗が部屋に入ってきた。
そこには香津美の姿は無かったが、ついさっきまでここに居たという痕跡は明らかに
残っていた。
「まったく美雪といい…どこに行ったのかしら…」
ふと目に付いたのはベットの上の乱雑に掛け布団、そしてその枕元に放置してある
本。
見開かれたページには禍々しい悪魔の偶像が描かれている。
「あの子ったらまたこんなもの読んで…どこが面白いのかしらね……あら?」
早苗はそれを気味悪そうに一瞥するが、あることに気が付いた。
その閉ざされた目が微かに光を帯び始めていることに………















そしてその異世界では…
その本人、香津美は生贄となるべく着ているものを脱ぐように言い渡されていた。
ぎこちない仕草でボタン一つ一つを外し終え、前をはだけていく。
そこに現れたのは上着の裾にかろうじて隠れている豊かな乳房と引き締まりつつも適
度に脂
がのっている腹部。
その肌は香りたつほどに若々しいものであった。
「さぁ、見せて頂戴…」
言うが早いが、銀髪は香津美のズボンの裾を掴むと、下にグイッと引き下げる。
「あっ…!」
下腹部まで晒されたそこには、健康的な肌にワンポイントのように佇む窪みが存在し
ていた。
美雪のものより大きく楕円型に引き締まり、肉片に阻まれているその奥は更に深そう
である。
「ンフフ…貴女のココも精気に満ち溢れているわね…」
腹部を撫で回した指はその窪みに潜り込んでいく。
肉片を掻き分け、奥まで到達すると腹膜により近いそこをゆっくりと掻き回した。
「ん………っ!くぅっ!」
敏感なところをくじり回され、反射的に体が強張る。
「感度は良さそうね……ちょっと弄られただけでそんななら、精を捧げる前に狂って
しまうかもね」
香津美の臍穴に差し込まれていた指を引き抜き、銀髪は少々嬉しそうにそう言った。

「お…姉ちゃん……」
美雪は力なく跪いてその様子を傍観している。
僅かながらとはいえ精気を吸い取られたのである。言いようのない脱力感に身体を動
かす事もままならない。
「心配しなくてもアナタには別の調理法を用意しているからね」
瞳には色欲の情に満ち溢れさせながら金髪は美雪にささやいた。

「それじゃあ、身に着けているものを全て取り去ってもらおうかしら?」
「……え?」
「そんなもの、『これから始まる事』には邪魔なだけよ。早くしないとあの娘を代わ
りに…」
「わ…分かったわよ…」
パジャマの上着を肩からスルリと脱ぎ落とす。
同時に形の良い乳房がプルンと弾み、桃色に色づいた乳首が震えているのが分かる。
そしてズボンと一緒に最後の一枚、ショーツをもずり下げる。
女性らしく成熟している大きな尻、続いて屈み気味ながら少々濃い目の茂みまでもが
確認できた。
「さあ…これでいいでしょ…?」
一糸纏わぬ姿で胸と秘部を腕で隠し、赤面しながら言い放つ。
「えぇ、上出来よ」
妖艶な表情で銀髪は答えた。
自分の中で覚悟はしていたものの、これから起こりうる言いようのない危機感に次第
に押しつぶされていくのを感じていた。
気丈に振舞っているつもりでも、恐怖と不安で気が腐れそうになる。
「台座の前へ進み出なさい。その心も供物」
視線の先には生物とも無機質ともとれぬ外観の台座、その真上には顔の上面をマスク
で覆ったようないわゆる「悪魔」の偶像が見据えている。
その禍々しさに香津美は足がすくむ。
「さぁ早くなさい!」
「あっ?!」
業を煮やした金髪は香津美の手を掴むと無理矢理放り出す。
とても女性のものとは思えないその力に、あがらう術もなく台座に倒れこんだ。
「あなたが羨ましいわ。この儀式には『生命あるもの』でしか受ける事が出来ないの
だから…」
(生命あるもの……ではやはりこの女性達は……)
しかし今はそんな事を考えられるほど思考の余裕などなかった。
今目の前に写る光景。それが今の現実。
こうなった以上、もはやどうにかなるものではない。
せめてこれが悪夢であることを祈るだけであった。
夢から醒めればいつもと変わらない朝が来ることを…

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