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Pleasure


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時刻は午後4時30分――日の傾く教室の中、私は初めて体験する激痛と格闘していた。
時間が経つのが酷く遅く感じられる。
それがこんなに辛いなんて思わなかった。

私は自分の中で蠢く其れに手を伸ばした。
もう大分下がって、『入り口』を押し開けようとしている。


「気分はどう?唯」


閉じていた目を開けると、岬がにこりと笑っていた。
3年来の彼で、私が今産み落とそうとしている子供の父親でもある。

10ヶ月前、同じようにこの場所でやった行為が、皮肉にも今に至る。


「発露に入ったんじゃねェ?」
「知らないわよ…痛くて其れどころじゃない」
「ふーん」


何が「ふーん」よ。産むこっちの身にもなってみたらどうなのよ。

痛みに間隔なんてものはとっくに無くなって、ただひたすら痛みに耐える。
多分、鈍く広がる鉄の味は、噛み締めた唇の所為だろう。
結構大切にしてた唇なのに。

腹も腰も、相乗して頭まで痛い。
下腹部が圧迫されて、なんだか変な感じがした。


「痛い?」


痛いに決まってるじゃない、この馬鹿っっ!!!
と鬱憤晴らしさながらに、心中で絶叫する。
口を開いたら苦痛の余り何を口走るか分からなくて、現実は頷く事しか出来なかった。

岬は私の太腿をなぞるように視線を巡らせ、其処で目を止めた。
視姦、されてるみたいで何だか嫌。
でも――ちょっと、気持ち良い。

「ン……アあッ!!!」
そんなふうに考えた瞬間、物凄い衝撃が身体を貫いた。
下腹部の塊がズ、と下がる感覚。
何かもどかしいような、不思議な感じ。
私は本能の赴くまま、力をこめて息んだ。


「ゥ……ッ、んん――…!!!」


まるでアソコだけに血が巡ってるみたいに、熱い。
考えたら不思議なんだ。
あんな狭い所を、よくもこんなに大きな塊が通れるモンだよ。
ゆっくり、産道を下がって行く。
じわじわとその感覚が伝わってきた。


「凄ぇ、良い顔してる。なァ、唯」
「――ェ」

岬に不意打ちでキスをされる。
私は黙ってその目を見つめ返した。

「気持ち良さそう。唯、セックスする時だって、そんな顔した事ねェよ?」

膨れた腹を岬の手が撫でる。
腹の中で其れを感じ取ったのか、鼓動がひときわ大きく突いてきた。


「ァっ…岬!!」


思わず叫びが洩れた。
一瞬其処が痺れるような感じがして、強い痙攣のような衝動と共に
塊の一部が抜け落ちた。


「唯?」
「…あ、…頭、出た、気がする」
「…ホントだ。首から先だけ、出てる」

凄いな、なんて岬は嬉しそうに笑ってる。


あー…ヤバイ。
頭が朦朧としてきた。
――苦痛の底から滲んでくる、快楽に。
入り口を滑る『ズルッ』ってヤツが、怖いくらいに気持ち良かった。

呼吸を整える間も無く、次の波が襲ってきた。
私は大きく息を吸った。



「―――ッ…!!!!」



これでもか、と言わんばかりに力を入れる。
ああもう、何が出るのか私にも分からない。
っていうか、何が出てもおかしくないよ。

アソコが熱を持ってるのが自分でも分かる。
中に残っている部分と外に出た部分の対比が、やたらと気持ちイイ。
出そうで出ない――こんなのも…もう、ずっとこの不可思議な感覚でも。

激痛と其の感覚に揺さぶられて、私は岬の手を取った。

痛くて、熱くて――でも、気持ちイイ…。


「うぅ…っ、ん、くゥ…ッ!!!!」


羊水が床に落ちてピチャッと音を立てる。
其れが嫌に艶かしくて、私は血の味がする唇を舌先で舐めた。

不意に、岬の手がアソコに触れた。
自分の意思と無関係に、身体が過敏に反応する。
開いた脚と張り詰めた其処に、意識が集中する。

「ッ…!!!ぁァ!」

つっかかるような痛みが走った。
岬は子供の頭を抱え、柔に其れを引っ張った。
「ぅあ、ああァ…!!!」

ずるずると波のように下半身を襲う衝動。
濡れた其処は滑らかに、それでも抵抗を残しながら塊を押し出そうとした。


「あァ…ッ、岬…イイッ…!!」
「やっぱ凄い。…一気に抜いて良い?合わせろよ」
「ぅん…っ」


私が息むのと同時に、岬が子供を引きぬく。



「あァァ―――――っッ!!!!!」



タイミングはばっちり合って、塊が産道を一気に抜け落ちた。






刹那、意識がホワイト・アウトした。

まだ荒い息のまま、岬の手の中を見ると、濡れた小さな子供の姿が有った。
「触ってみなよ」
言われるがまま、まだ私と繋がっているその小さな身体に手を伸ばす。

触れた指先が、ほんのりと温かかった。


題名に「pleasure」を持ってきたのは「快楽」の意味を含むから。
本来は「宝物」って意味が強いんですけど、それも有りかなってんで。
今回のテーマは「快楽」に重点を置いてます。
無論、経験の無い私には、一人称はなかなかの難産でしたが(笑)

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